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自分の枠を超えたアイデアを生み出す方法

緊急事態宣言も解除され、気が付くともう6月。最近は気温の高い日も増えてきました。こんな日には清涼飲料水を飲む機会が増えますね。

清涼飲料水の容器としてはペットボトルが主流ですが、ひと昔前はガラスボトルが一般的。

ガラスボトルの質感やデザイン性はペットボトルよりも高く、これまでガラスボトルのデザインが売り上げに貢献した事例も数多く存在します。

例えば1915年から導入されたコカ・コーラのボトルデザインは独特であり、CMや雑誌などでの宣伝手法も相まってコカ・コーラの世界的なヒットに貢献しました。

このコカ・コーラのボトルデザイン。実は偶然辞書に出ていたカカオの実をヒントに考え出されたそうです。

このように、斬新で優れたアイデアが本来の目的とは全く関係のないところから生まれる事例は結構あるようです。


頭の中だけではアイデアは生まれにくい

人間は様々な経験を重ねていくうちに、類似する経験を頭の中でグルーピングし、それらを関連付けていきます。

日常の中である場面に遭遇した場合、人間はその場面を頭の中に蓄積されたグループに結び付け、その状況の全容を一瞬で理解しようとします。

これを「トリガー効果」と呼びます。

日常生活の中ですばやく物事を判断できるのはトリガー効果のおかげなのですが、反面、一部の場面のみから全容を理解したと勘違いしてしまい、自分で理解したり考えたりすることなく、思考をやめてしまうという副作用もあります。

ステレオタイプ的な考え方、差別や偏見などもトリガー効果の副作用ですね。

さらにこの副作用は新たなアイデアを生み出す障害ともなってしまいます。

すなわち、ある物事の一部を考えただけでその全容を理解したつもりとなり、深く考えれば新たなアイデアが生まれる可能性があるにもかかわらず、そこで思考をやめてしまうからです。

また人間は経験が増えるほど、特に自分でうまくいった経験が増えるほど、特定の思考パターンに固執してしまう傾向があります。

人間は基本的に変化を嫌う生き物。たとえ過去の経験が役に立たないほど環境が変化していったとしても、あえて新たな思考を行うよりも、過去の成功体験に関連付けて物事を処理したほうが安全で楽だと考えがちです。

このような傾向は、年をとればとるほど、成功体験が多いほど、強固になっていくのかもしれません。

そうなるとその思考パターンから外れるのは容易ではありません。

このようなこともアイデアを生み出す障害となってしまいます。


アイデアを生み出す方法とは

それでは、どのようにすれば自分の頭の中に作り出したグルーピングや思考パターンから抜け出すことができるのでしょうか。

これには頭の中のグルーピングや思考パターンと全く無関係な刺激を外部から与えてやることが有効です。

有名な方法の一つが「ランダムエントリー」という方法です。

この手順は以下の通りです。

①課題を短い文章で表す。
例えば、「ネットショップで成功するには」などの課題を文章で表します。

②ランダムなキーワードを得る。
辞書を適当に開いて最初に出てきた単語を選ぶ、インターネットのwebサイトを訪れて10番目に出てきた単語を選ぶ、テレビをつけて最初に出てきた単語を選ぶなどの方法があります。

ランダムな単語とその単語の意味とを表示してくれるサイトもあります。

Weblioランダム辞書

③文章で表した①の課題とランダムに選択した②の単語とを結びつけてアイデアを出す。
この結び付けでは、実現不可能だとか、つまらないとか、ばかげているとかそのようなことは考えずに、ひたすらアイデアを出していきます。

例えば、「ネットショップで成功」という課題に対し、「骨粗しょう症」という単語がランダムに選択されたとすると、「骨粗しょう症の原因と対策のコンテンツからそのグッツを販売できないか」「高齢者の女性向けのサービスはないか」「ネットショップを使っていない高齢者向けのネットショップを作れないか」「高齢者向けのネットショップ注文代行はできないか」・・・など質よりも量を優先してアイデアを出していきます。

②③を繰り返して大量のアイデアを出していく中で、自分の頭の中の枠を超えた良いアイデアに出会える場合があります。


「しりとり」ランダムエントリー

ランダムエントリーの改良として「しりとり」を利用する方法があります。

この方法を提唱しているのは第1回おもちゃ大賞を受賞した「∞(むげん)プチプチ」などを開発した「おもちゃクリエータ」の高橋晋平氏です。

高橋氏は株式会社バンダイに入社しておもちゃ開発を始めた当初、毎日新しいアイデアを生み出し、上司に提案していました。

そんな中、上司から「企画を行う前に売れるおもちゃの市場調査を行い、そのデータに基づいてアイデアを出すように」と命じられたそうです。

ところが、データに基づいてアイデアを出そうとしたところ、全く斬新なアイデアが出なくなったとのこと。

出てくるアイデアはどこかで見たようなありきたりなものばかり。

そこで高橋氏はデータを捨て、「しりとり」を利用してアイデアを生み出すようになりました。

これが成功し、高橋氏がバンダイ時代に開発したおもちゃは国内外累計335万個売れ、数々の賞を受賞するに至っています。

その方法は上述した「ランダムエントリー」の「②ランダムなキーワードを得る」の工程を「しりとり」に置き換えたものです。

つまり、「りんご」→「ゴリラ」→「らくだ」→「だるま」・・・としりとりを行っていき、登場した各単語と①の課題とを無理やり結びつけてアイデアを出していくものです。

これによっても、頭の中のグルーピングや思考パターンと無関係な単語が与えられるため、斬新なアイデアを生み出すきっかけになります。

さらにこの方法が優れているのは、「りんご」→「ゴリラ」→「らくだ」→「だるま」・・・と連想していった過去の単語もアイデアの発想に組み込まれる点。

すなわち、「ゴリラ」だけではなく「りんご」と「ゴリラ」とを課題に結び付けることで新たな発想が生まれる場合もあります。


まとめ

思考の呪縛から解き放たれるためには、思考のスタート地点を意図的かつ強制的にシフトさせることが必要。

自分自身の経験で作り上げてしまった便利な思考パターンから抜け出すことは容易ではないかもしれませんが、あえてそれから外れてみることで次の世界が見えてくるかもしれません。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


弁理士 中村幸雄


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