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ブライダルシーンでの音楽利用と著作権(1)

結婚披露宴などのブライダルシーンでは、入場時、ケーキ入刀、プロフィール映像の放映時、余興など、様々な場面で音楽が利用されます。

この音楽の権利関係はかなり複雑。作詞や作曲をした人の著作権や著作者人格権、歌唱や演奏をした人やCD製作を行ったレコード会社の著作隣接権などが存在します。

また、一定期間を経過した場合には著作権や著作隣接権が消滅したり、所定の条件のもとで著作権や著作隣接権の効力が制限されたりする場合がある一方、半永久的に禁止される行為も存在します。

さらに、著作権の管理はJASRACなどの著作権管理団体が行い、著作隣接権の管理はレコード会社が行い、著作者人格権や実演家人格権はこれらに管理されていないなど、その管理の構造も複雑です。

今回はブライダルシーンでの音楽の権利関係をできるだけシンプルに整理してみたいと思います(※1)。

※1:映像については更に別の整理が必要です。


ブライダルシーンでの音楽利用の2つの形


ブライダルシーンでの音楽利用には以下の2つの形があり、著作権法上の扱いも異なります。

1.音楽の「複製」利用
新郎新婦の入場時に流される音楽を記録したCDの製作、プロフィール映像のBGMを記録したCDやDVDの製作、披露宴の様子を記録したブライダル記念のCDやDVDの製作など。

2.音楽の「演奏」「再生」利用
披露宴での音楽の生演奏、CDの再生、プロフィール映像の再生など。

1.音楽の「複製」利用に関係する権利
音楽の「複製」利用には、①作詞・作曲者などの「著作者」の権利、②歌手や演奏者などの「実演家」の権利、③CDなどを製作した「レコード製作者」の権利が関係します。

著作者の権利(著作権・著作者人格権)
・複製権(著作権法21条) :著作物の複製(CD製作など)
・翻案権(同法27条)   :著作物の変形等の翻案(替歌など)
・氏名表示権(同法19条):著作者名の表示/表示
・同一性保持権(同法20条):意に反する改変禁止

実演家の権利(著作隣接権)
・録音権(同法91条)   :実演の録音(CD製作など)
・氏名表示権(同法90条の2):実演家名の表示/表示
・同一性保持権(同法90条の3):意に反する改変禁止

レコード製作者の権利(著作隣接権)
・複製権(同法96条)   :レコードの複製(CD製作など)

一般的にはこれらの権利は以下のように管理されています(※2)。

2.音楽の「演奏」「再生」利用に関係する権利
音楽の「演奏」「再生」利用には、①作詞・作曲者などの「著作者」の権利、②歌手や演奏者などの「実演家」の権利が関係します。

①著作者の権利
・演奏権(同法22条) :著作物の公な演奏(歌唱や再生を含む)を専有
・氏名表示権(同法19条):著作者名の表示/表示
・同一性保持権(同法20条):意に反する改変禁止

②実演家の権利(著作隣接権)
・氏名表示権(同法90条の2):実演家名の表示/表示
・同一性保持権(同法90条の3):意に反する改変禁止

一般的にはこれらの権利は以下のように管理されています(※3)。

※2,3:各権利をどこが管理し、どこに利用許諾を求める必要があるかは楽曲ごとに異なります。具体的な判断については、まずはJASRACやレコード会社にお問い合わせください。

JASRACの問い合わせ先
http://www.jasrac.or.jp/info/index.html

レコード会社の問い合わせ先
https://www.riaj.or.jp/leg/list.html

次回はこれらの権利の消滅・制限について触れてみようと思います。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁理士 中村幸雄


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