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Amazonの番組制作失敗に学ぶ-拡散されるアイデア

いかにアイデアを広く認知させるか、ということも重要な課題の一つ。

現代はインターネットを通じて様々なデータを収集でき、人々がどのような話題に興味があるのか、どのようなものを必要としているのか、どのようなものが売れているのかといった情報を簡単に入手できます。

そのため、多くのデータを集め、分析し、それに基づくことで、世間に広く拡散され、認知されるアイデアを作れそうな気もします。

しかし、実際は違うようです。

 

Amazonの番組制作の失敗

「アマゾン・スタジオ」はAmazonのテレビ制作会社。

以前「アマゾン・スタジオ」は、データ分析によって世間の趣向を捉え、それを番組制作に生かすプロジェクトにトライしたことがありました。

そのために、まず幾つかの番組を無料配信し、視聴者のデータを収集。

視聴者がどの番組をどの時間帯に視聴し、どのシーンを一時停止し、飛ばし、リプレイしたかなどのいった数百万のデータを分析し、それに基づいて製作する番組の内容を決定。

その結果、決定されたテレビ番組の内容は「4人の共和党上院議員が主役のホームコメディ」。それに基づき「アルファ・ハウス(Alpha House)」というコメディドラマが製作されました。

アルファ・ハウス:Alpha House

 

ところが、視聴者の評価は平均レベルに毛が生えた程度。「暇であれば見てみようか」程度の評価であり、当初の狙いとはかけ離れた結果になってしまったようです。

 

「アマゾン・スタジオ」の失敗の原因

「アマゾン・スタジオ」は、(1)データの細分化、(2)細分化されたデータの分析、(3)分析結果の再合成という手順をたどって「4人の共和党上院議員が主役のホームコメディ」が成功すると結論付けました。

大雑把にいうと、収集したデータを「分野」「人物」…「人数」などの属性に細分化し、細分化されたデータから評価ポイントが高いものを選択し、選択した要素を再結合したことになります。

これにより、再結合された「4人の共和党上院議員が主役のホームコメディ」は最高の評価を得られると予想されました。

A:4人の共和党上院議員が主役のホームコメディ

 

しかし、視聴者はそのように評価をしませんでした。

その一因は現代のメディアの多様化。現在、インターネットを用いた様々なメディアが存在し、人々は日々大量の情報に触れることになります。

人々は大量の情報から選択を行う必要があり、似通った情報が多いほど、それを無視する傾向が高くなります。

言い換えると、どこかで見たことのあるような「普通」のものは埋もれてしまい、逆に目新しい・奇抜・新鮮なものほどSNS受けしやすい傾向があります。

つまり、分布の中心のアイデアを寄せ集めても、その大方は無視され、思うような評価を得られないことも多いのではないでしょうか。

 

分布の端を狙う

目新しい・奇抜・新鮮なものは、データ分析によって得られる分布の中心には存在しません。このようなアイデアが位置するのは常に分布の端。

つまり、以下のBやCのアイデアが目新しい・奇抜・新鮮といったものであり、広く拡散される可能性を秘めたものです。

例えば、赤城乳業株式会社のアイスキャンディ「ガリガリ君」(登録商標)の「コーンポタージュ味」「クレアおばさんのシチュー味」「ナポリタン味」などは、味の奇抜さからSNSやマスコミでも多く取り上げられ、大きな話題となりました。

ザ・リッツ・カールトン大阪の「10万円の朝ごはん」などの高付加価値サービスも、その価格設定の奇抜さで全国放送のテレビ番組等で取り上げられて拡散され、結婚式の朝食など特別な日のメニューとして受け入れられています。

ザ・リッツ・カールトン大阪の「10万円の朝ごはん」

近年、5G、IoT、AIなどによってビックデータを収集・分析できる環境が整ってきていますが、その傾向を再結合する程度では大きな成功は望めないようです。

分布の端のアイデアとそれを熱烈に欲する層とを結びつけることができるのは、自ら熱狂的に感動を追及し続ける心なのかもしれません。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁理士 中村幸雄


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