
お電話でのお問い合わせ080-7297-6409
杉本さんはフリーのイラストレータ。美大卒業後、地元のデザイン会社を経て3年前に独立した。彼が持つ独自の世界観と誠実な人柄が買われ、最近仕事も増え始めた。
今回の仕事は京都の博物館で行われるイベントPR用のポスターのデザイン。月曜の朝9時からの京都での打ち合わせ。大きなイベントと聞いて気合が入る。
京都での打ち合わせや資料の撮影を終え、東京の事務所に戻ったのは夜8時。さすがに疲れたが待ちきれず構想を練り始めた。
今日持ち帰ったのは以下の5点。
①西洋の鎧のレプリカの写真。
②120年前に描かれた絵画を模して20年前に作成された版画の写真。
③展示会場の外観写真。
④展示会場内部の写真。
⑤古代エジプトの王冠の写真。
①~④は京都での打ち合わせの後、杉本さんが自ら撮影したものだ。
⑤は打ち合わせを行ったイベント会社からいただいた。専属のカメラマンが撮影した写真らしい。
さらに杉本さんは、
⑥グーグル(登録商標)のSTREET VIEW(登録商標)でトルコの遺跡の写真も集めた。
集めた資料を眺めながら想像力を膨らます・・・気が付くと時計の針が11時を指していた。具体的な検討は翌日以降に行うことにした。
それから2週間が経過し、最初のデザイン案が完成した。
このデザイン案には、①の鎧の写真の関節部分のトレース画、②の版画写真の一部分をモチーフとしたデザイン、⑤の王冠の写真の一部のトレース、⑥の遺跡の写真の一部が組み込まれている。
さらに、③の展示会場の外観写真、④の展示会場内部の写真も表示されている。④の展示会場内部の写真の片隅には、最近注目を集める左官職人 平戸氏(仮名)の作品が写りこんでいる。平戸氏が手掛ける土壁は単なる壁ではなく、芸術性の高いオブジェと評価されている。
杉本さんはこのデザイン案を持って京都で打ち合わせを行うことになった。
このようなケースの場合、著作権上どのような点に気を付けなければならないでしょうか(次回に続く)。※上述の実例はフィクションです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
弁理士 中村幸雄